ヤミ金に借りた事業者のための手形不渡り防止の裏技

事業者の方が、万が一闇金に借金してしまった場合、大抵手形や小切手を担保に取られてしまっています。ここでは、ヤミ金相手の不渡り防止方法について解説します。

裁判所に命令を出してもらう

事業者が闇金から借りている場合、たいてい担保として手形や小切手を取られてしまっています。

いくらヤミ金には返さないと頑張っても、取立てをやめさせても、担保として取られていた手形や小切手を銀行に回されて不渡りになってしまうと、事業そのものが危なくなってしまいます。

それだけ、事業者の場合は問題がやっかいになります。

しかし、手形や小切手の不渡りを防止する方法はいくつかあります。

まず、ヤミ金が手形や小切手を銀行経由で取立てに回してきた場合、銀行に「異議申立提供金」を差し出すという方法があります。

ただし、この場合は、手形や小切手の額面金額と同額が必要になります。

もし、異議申立提供金を用意できるなら、資金不足による不渡りを回避することができます。

ただし、闇金にまで手を出している事業者が、手形・小切手と同額の異議申立提供金を積むことは難しいかもしれません。

その場合には、地方裁判所に「手形もしくは小切手処分禁止の仮処分」の申立てをする方法があります。

この申立てには、額面金額の2割ほどの担保が必要です。

この申立てが認められれば、裁判所が手形や小切手を取立てに回すなという命令を出してくれます。

この命令は強制力をもっていますので、ヤミ金が手形や小切手をそのまま取立てに回した場合でも、不渡りになることはありません。

さらに、費用がほとんどかからない方法としては、簡易裁判所に「特定調停」の申立てをすることもできます。

特定調停とは、簡易裁判所にあいだに入ってもらって借金問題を話し合いで解決する制度ですが、この申立てと同時に「事前の措置」の申立てをするのです。

「事前の措置」というのは、闇金からの借金については特定調停で問題を解決したいので、それまで手形や小切手は取立てに回さないようにしてもらうことです。

この申立てを簡易裁判所が認めてくれると、手形や小切手を取立てに回さないようにという命令が出されます。

ただし、この命令に違反してヤミ金が取り立てに回しても、10万円以下の罰金が科されるだけです。

また、「手形もしくは小切手処分禁止の仮処分」とはちがって、強制的に手形や小切手を取立てに回すことを止められるというわけではありません。

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小切手の当座預金口座を解約する！？

小切手の場合には、別の方法があります。

不渡りが出るのは、小切手を決済するための当座預金口座をもっているためです。

そこで、まず銀行とのあいだで当座勘定取引契約を解約します。

解約したら、小切手の支払呈示期間が過ぎるまでは、なんとか闇金が小切手を取立てに回さないように工夫します。

何とか理由をつけて支払いを先延ばしにしたり、弁護士に借金整理を依頼するなど、なんとか時間をかせぎます。

そして、当座預金口座を解約してから10日間が過ぎると、ヤミ金が小切手を取立てに回してきたとしても、資金不足を理由とした不渡りにはなりません。

このように手形や小切手の不渡りを防止する方法はありますが、ここで紹介したどの方法も使えないという場合には、やむを得ませんが闇金と和解するしかないでしょう。

和解するときは、これまでのヤミ金との取引をすべて書き出し、いくら借り、いくら返済したかを明確にして「利息制限法に基づく引直計算」をします。

その結果、借金の残高が残っていれば、残高分だけを返済します。

残高が残っていなくても、若干の金額を支払って和解してくれるよう交渉します。

本来なら1円も返す必要のない闇金相手にカネを支払って和解するのですから苦渋の選択ですが、不渡りを防ぐことはできます。

以上が、闇金から借りてしまった事業者の不渡り防止対策となりますが、一番の対策はやはりヤミ金からお金を借りないことに尽きます。

どれだけ資金繰りが苦しくても、ヤミ金だけには手を出さないよう十分注意してください。

もし借金してしまった相手が闇金業者と気づいた場合には、一日も早く闇金に強い弁護士や司法書士に相談して、なんとか解決の途を探りましょう。

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