ヤミ金が狙うターゲットは様々です。多重債務者のみならず、事業者、ギャンブラー、主婦、高齢者など、多くの人たちが狙われています。
ヤミ金にこんな人が狙われている
ヤミ金の被害者は、すでに複数の借入先から多額の借金をしている人たちがほとんどです。
このような多重債務者には、もはや銀行や信販会社、消費者金融などはカネを貸してくれません。
それでも毎月の返済期日はやってきますから、彼らでも借りることのできる闇金に手を出してしまうのです。
逆にいうと、闇金はそうした借金に苦しむ人たちを主なターゲットとしているわけです。
特にヤミ金にターゲットとして狙われやすいのは、以下の8つのタイプでしょう。
- 多重債務者
- 自己破産者(債務整理者)
- 事業者(個人事業主)
- ブラックリストに入っている人
- 生活保護受給者・年金受給者
- ギャンブラー(パチンコ・競馬など)
- 主婦
- 高齢者
以下にその特徴をあげてみましょう。
(1)全国に200万人いるといわれる「多重債務者」
複数の借入先から多額の借金があり、その返済に苦しんでいる多重債務者は、全国に200万人もいるといわれています。
多重債務者は一般に消費者金融など5社以上の借入がある人たちとされています。
その数は約45万人いると見られ、平均借入額は200万円を超えています。
この人数は、あくまでも自治体や法律家などへの相談者を数え挙げたものであり、潜在的な多重債務者は、200万人を超すといわれています。
彼らは、2010年6月に施行された改正貸金業法による総量規制の影響で、融資ができない状態に陥っているケースがほとんどです。
このような人たちは、今ある借金の返済のためにまた新たな借金をするということを繰り返してきた人たちですが、まさにヤミ金の格好のターゲットと言えるでしょう。
闇金業者は、多重債務者の顧客名簿を買い取り、その個人情報に基づいて様々な媒体を使って、彼らを勧誘しています。
多重債務者は、安易にこれに乗ってしまうケースが多く、ついヤミ金に手を出してしまうのです。
(2)自己破産者(債務整理者)も狙われやすい
「自己破産」は法律で認められた借金整理の方法の一つで、簡単に言えば、支払い不能を理由に裁判所から「借金返済を免除」してもらう制度です。
2012年の自己破産申立件数は、全国で約10万件となっており、年々減少傾向にはありますが、この自己破産者がやはりヤミ金に狙われやすいのです。
なぜなら、自己破産するくらいですから経済的には行き詰まっているはずですし、自己破産すると、銀行や消費者金融から融資を受けることは不可能になっているからです。
さらに、自己破産者が闇金から狙われやすい理由には、自己破産者の情報が入手しやすいという点があります。
というのも、自己破産した場合、自己破産者の氏名や住所が官報(政府が発行する機関紙)に掲載されてしまうからです。
ヤミ金業者は、官報を見たりインターネットで検索したりして自己破産者をつきとめ、ダイレクトメールを送りつけるなどして勧誘するのです。
また、一度自己破産すると、原則としてその後10年間は自己破産制度を利用することはできません。
つまり、一般の被害者とは違って、自己破産で「逃げられる」ことができないのです。
さらに、自己破産までしてしまう人というのは本来「借金癖」を持っています。
これらの点もヤミ金から狙われる大きな理由でしょう。
(3)事業者(個人事業主)
闇金は、一般的に個人をターゲットに数万円ほどを貸し付けるというのが主なやり方です。
しかし、長引く不況の影響で資金繰りに困っている事業者(主に中小零細事業者)がヤミ金の被害に遭うケースが多くなってきています。
事業者の場合、会社などの経営資金の借入ですから、個人よりも金額が大きく闇金の儲けも大きくなるのです。
手口としては、「システム金融」や最近流行りの「ファクタリング闇金」などが挙げられますが、顧客情報を共有している複数の闇金業者がグループを組んで、繰り返し貸し付けを行うケースが多くなっています。
資金繰りに困っている事業者の情報も、多重債務者の情報と同様に業者間で流通しており、その情報をもとにダイレクトメールや電話で融資の勧誘を行います。
しかも、手形決済日の数日前など実にタイミングよく勧誘してきます。
つまり、会社の決済日などの情報も流出しているということです。
(4)ブラックリストに入っている人
債務者が「任意整理」「自己破産」などの債務整理を行ったりすると、信用情報いわゆるブラックリストに載ってしまいます。
ブラックリストとは、民間の信用情報機関が、返済の遅延、債務整理の開始、破産・民事再生の申し立てなどの経済的な信用状態に関する個人情報(事故情報)を収集してまとめたデータベースのことを指します。
信用情報機関とは、消費者金融(サラ金)系の日本信用情報機構(JICC、旧全国信用情報センター連合会、旧シーシービー)、信販会社・クレジット系のCIC(シーアイシー)、銀行系の全国銀行個人情報信用センター(全銀協)などがあります。
事故情報とは、
「債務整理」
「破産・再生の申し立て」
「3ヶ月以上の延滞」
などが事故情報として扱われます。
銀行や消費者金融などの貸金業者は、利用者に融資をする際に審査のため、上記の信用情報機関の情報を確認します。
ブラックリストはそれら金融機関の間で情報共有されているため、ブラックリストに載っている人たちに融資をすることはありません。
一度ブラックリストに載ってしまうと、一定期間信用情報機関のデータベースから消えることはありません。
その期間は、信用情報機関によって異なりますし、事故情報の内容によっても異なります。
これにより、ブラックリストに載ってしまった人たちは、約5年~10年の間、金融機関からお金を借りることができなくなってしまいます。
そこで、最終手段としてヤミ金を利用することになってしまうのです。
また逆に、闇金業者側もブラックリスト情報を持っていますので、彼らに電話をかけるなどの勧誘を行い、お金を貸し付けるのです。
(5)生活保護受給者・年金受給者
年金受給者は限られた金額の年金で生活しているため、生活に苦慮しているケースは少なくありません。
また、生活保護受給者もまた当然ながら困窮が理由で生活保護を受けているわけで、苦しい生活を強いられています。
生活保護受給者、年金受給者に共通しているのは、生活費に苦しんでいるという点です。
これら公的年金を受けている人たちは、収入が安定していないなどの理由で銀行等からの融資を断られるケースがほとんどです。
生活保護受給者、年金受給者の生活が安定することはありません。
これら慢性的に困窮している生活保護受給者・年金受給者を狙って、ヤミ金は融資をするため、勧誘をするのです。
高齢者に対しては、闇金業者は、年金を「担保」にとって融資を行うという手口を使います。
公的年金を担保にしてお金を借すことが法律で許されているのは「独立行政法人・福祉医療機構」が行っている年金担保融資だけに限られ、借りられる金額も限定されています。
「独立行政法人・福祉医療機構」以外の者が、年金を担保に融資することは、違法であり犯罪です。
また生活保護受給者に対しては「NPO法人」や「被害者救済団体」を騙り、「生活を楽にしてあげますよ」と言って近づき、お金を貸し付けたりします。
闇金業者は、生活保護受給者、年金受給者など生活に苦しむほどお金に困っている人までもターゲットにして、食い物にしようと狙っているのです。
(6)ギャンブラー(パチンコ・競馬など)
現在の日本には、法律で許可されたギャンブルとして、パチンコ、競馬、競輪、競艇、オートレースがあります。
中でもパチンコ・パチスロは年間23兆円を超える売り上げを上げており、一大巨大市場となっています。
公営カジノの許可されていない日本ですが、パチンコ・パチスロの存在により実は世界一のギャンブル大国であると言われています。
パチンコの他にも、競馬市場は3兆3,300億円、競輪は7,000億円、競艇は9,000億円、これにオートレースを含めると、パチンコ・パチスロと合わせて30兆円近い市場規模となり、日本はギャンブラー、ギャンブル依存症大国となってしまっています。
この現状にヤミ金が目を付けない理由はありません。
主な手口には、「パチンコ金融」「競馬金融」「ポーカー金融」などがあります。
ギャンブルは大きなお金が動くことから、より法外な金利を取るケースが多くなっています。
パチンコ金融は、パチンコ店やパチスロ店の付近にチラシを貼ったり、車や自転車などにチラシを置くなどして利用者を勧誘します。
そして、「ヒイチ」すなわち1日1割というとんでもない金利で貸し付けを行います。
競馬金融は、競馬場や場外馬券場で待ち構えてお金を貸し付けます。
金利は「フンイチ」と言われ、一分間で一割というとてつもない金利です。
ギャンブルで熱くなっている人は、ついつい簡単にこれを借りてしまい、取り返しのつかないことになってしまいます。
(7)主婦
前述した「パチンコ金融」に手を出してしまう人の中には、主婦が混じっているケースも多くあります。
主婦は、無職の人が多く
「収入証明が出せない」
「総量規制の制限に引っかかる」
といった理由で消費者金融からお金を借りにくくなっています。
また、借金に対する知識がなく、免疫が少ない人も多いようです。
正規の金融会社から借りることが出来ない、借金に対する情報面で弱い、といった理由から闇金のターゲットになりやすいのです。
主婦の場合、夫から取り立てることが出来る、極端な場合は風俗に沈めることが出来る、ために闇金の「上客」となってしまいます。
そして、近年特に主婦層を中心に狙い暗躍しているのが「ソフトヤミ金」です。
ソフトヤミ金は、物腰も柔らかく言葉遣いも丁寧で、主婦にとって親しみやすい業者を装っています。
時にはカウンセラーのごとく、主婦の愚痴や世間話の相手をしてくれたり、デート商法のような貸し方をしてみたり、その手口は実に巧妙かつ狡猾です。
金利も比較的低いため、ダマされやすく、気がついた時にはもう手遅れという最悪のケースが待っています。
(8)高齢者
高齢者は、ヤミ金だけでなく詐欺などの被害に遭うリスクが高い傾向にあります。
法律事務所に相談に訪れる被害者の中に高齢者が増えているという背景には、それだけヤミ金を利用してしまう老人が多いことの現れでもあり「高齢化社会」という現実を象徴しているように感じられます。
高齢者は、前述したように、ヤミ金の「年金担保金融」を利用してしまったり、「偽装質屋」にひっかかったりと、闇金の格好のターゲットとなっています。
闇金は、新しい情報に弱い「情報弱者」、「お金を借りることができない人」話し相手の少ない「孤独な人」を言葉巧みに勧誘することが得意です。
また、高齢者には「年金」という定期収入があるために、闇金業者にとって絶好の「カモ」となるのです。
まとめ
ヤミ金の主なターゲットは、やはり多重債務者ですが、上記のように様々な属性の人たちが被害に遭っているのが現実です。
その他、定職を持たないフリーターや、未成年の学生などにも簡単にお金を貸し付けます。
被害者の多くは、我々の周りにいる普通の人たちばかりです。
この事実は、あなたを含め誰でもが闇金のターゲットになる可能性があるということを示しています。
闇金の被害に遭わないように、日頃から十分注意することが肝要です。
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