ヤミ金の貸金自体が法律に違反した犯罪行為です。ですから、たとえヤミ金に借金した場合でも法律上は1円も返さなくて良いのです。
法定金利を超えた利息は無効になる
借金の金利を規制する法律は「出資法」と「利息制限法」の二つがありますが、貸金業者が守らなければいけない法律は、利息制限法になります。
利息制限法については、その上限金利を超える利息は無効であり、支払う義務はありません。
たとえば、100万円を借りる場合、利息制限法の上限金利は年15%です。
この利息制限法の上限金利に違反して、年利20%以上の利率を定めた借金の契約(金銭消費貸借契約)を読んだとしても、年利15%を超える部分の利息については無効となります。
ただし、借金の契約そのものは有効です。
借金の契約は、細かく言えば「貸金契約」と「利息契約」からなりますが、利息制限法に違反した場合は利息契約の一部が無効になるという意味です。
ですから、もちろん借金は返済しなければなりませんし、利息制限法の範囲内の利息も支払わなければなりません。
このようなケースに該当するのが消費者金融などの正規の貸金業者です。
消費者金融は利息制限法の上限金利を守って営業しており、利用者は利息を支払う義務があります。
出資法に違反していると契約のすべてが無効になる
では、闇金の場合はどうでしょう。
闇金は「10日で5割」「1日で1割」など、利息制限法どころか明らかに出資法の上限金利に違反した利息を取っています。
つまり、借金の契約すべてが無効になるのです。
ですから、ヤミ金に対しては借金の契約が無効であると主張できます。
では、出資法に違反していると、なぜ契約が無効であると主張できるのでしょうか。
少し法律的な難しい話になりますが、大切なポイントなので説明しておきます。
利息制限法に違反している場合も、出資法に違反している場合も、違法であることに変わりはありません。
ただし、その「違法性の程度」に差があるのです。
簡単に言えば、利息制限法は民事上の効力について規定した法律で、これに違反しても刑事責任は問われません。
つまり、違法性の程度が軽いわけです。
ですから、利息制限法に違反している場合、上限金利を超える部分の利息は無効になりますが、借金の契約自体は有効とされるのです。
これに対して、出資法というの社会全体の秩序を守るための法律です。
刑法と同じように、これに違反すると刑事罰が科されるほど違法性が重いのです。
そのため、利息についてだけでなく借金の契約すべてが無効とされるわけです。
ヤミ金には「返せ」という権利がない
前述したように、闇金は出資法に違反した犯罪行為を行っていますから、闇金からの借金は契約自体が無効ということになります。
この契約自体が無効というのは、具体的にどういうことでしょうか。
たとえばヤミ金から10万円を借りた場合、契約が無効になるとすると、借りた人がヤミ金から受け取った10万円はどうなるのでしょうか。
あなたが友人から10万円借りたとします。
ところが、そのあとで何らかの事情で友人から借金するのをやめたという場合、あなたがすでに10万円を受け取っていれば、その10万円は友人に返さなければならないはずです。
なぜなら、友人との借金の契約がなくなったのですから、あなたには10万円を受け取る理由がないからです。
これは、民法上の「不当利得」に当たります(民法703条、704条)。
つまり、理由もなく利益を得るということは認められないため、あなたは友人に10万円を返さなければならないのです。
ところが、相手が闇金の場合には話が違ってきます。
たとえヤミ金から10万円を受け取っていたとしても、あなたは1円も返す必要はありません。
これは、どうしてでしょうか。
友人から借りた場合と闇金から借りた場合とで、どこが違うのでしょうか。
実は、民法には「不当利得」の他に「不法原因給付」という規定もあるのです(民法708条)。
これは、たとえ「不当利得」であっても、その「不当利得」が生じた原因が不法な原因であった場合には、給付者の返還請求を認めないという規定です。
つまり、ヤミ金から受け取った10万円は「不当利得」ではありますが、10万円を受け取ることになったヤミ金との借金の契約が違法なものであるため(不法原因給付)、ヤミ金には10万円を返せという権利がないということなのです。
法律はあなたの味方である
民法に不法原因給付の規定があるのは、なぜでしょうか。
それは、たとえ損をした人がいても、それが自分が違法な行為をしたために損をしたのであれば、法律で保護する必要がないからです。
これを「クリーンハンズの原則」といいます。
出典:Wikipedia
きれいな手の人だけに法律は手を貸し、手の汚れた人には法律は手を貸さないという考え方です。
闇金は出資法違反という違法性の重い犯罪行為をしています。
そんな闇金に、法律は味方しません。
法律に違反する行為は高い金利で儲けようとして借り手にカネを貸しているわけですから、たとえばヤミ金が損をしようとも、そのカネを返せとヤミ金が要求することを法律で認めるわけにはいかないのです。
返済した分も取り戻せる?
では、次のようなケースはどうでしょうか。
闇金から10万円を借りて、そのうちの5万円についてはすでに返済していたという場合です。
この場合、残りの5万円について返済する義務がないのは説明した通りです。
では、本来なら返済義務のない、ヤミ金に返した5万円はどうなるのでしょうか。
結論から言えば、すでに返した5万円についてもヤミ金に返せと主張できます。
ヤミ金が貸した10万円は「不法原因給付」であり、ヤミ金が借り手に返せと請求する権利はありません。
一方、借り手が返済した5万円は「不法原因給付」ではありません。
なぜなら、借り手が返済したという行為には違法なところがないからです。
ということは、「不法原因給付」ではない5万円を闇金は受け取ったことになり、しかも借金の契約は無効になりますから、借り手が返済した5万円を闇金がもっていることには法律上の根拠がないことになります。
つまり、ヤミ金が受け取った5万円は「不法利得」になると考えられます。
「不法利得」なら、5万円を返済した借り手には返せという権利がありますし、ヤミ金は請求どおりに返さなければなりません。
一見、おかしな結論のように思うかもしれませんが、法律の規定を適用すればそうなるのです。
ただし、この点については判例も統一されていません。
闇金からの借金の契約は無効ですから、闇金が借り手から5万円の返済を受ける理由はありません。
したがって、ヤミ金は5万円を借り手に返しなさいという判例もあります。
その一方で、借り手は返済した5万円を返せとヤミ金に請求できないとする判例もあるのです。
しかし、ヤミ金被害をなくすためには、できるだけヤミ金から利益を奪う、ヤミ金の儲けを小さくすることが必要です。
そのためには、闇金に対しては
「借りたカネは返さない、払ったカネは取り戻す」
ということを徹底するべきです。
闇金との借金返済問題解決を弁護士や司法書士などの法律家に依頼すると、取立てはピタリと止まり、途端に督促の恐怖から逃れることができます。
また、闇金からの借金は、1円も返す必要のないものなので、その日から一切返済をしなくてよくなります。
実は、闇金被害の解決はあっけないほど簡単に済む問題なのです。
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