一度近づいてしまうと、大変なことになってしまうヤミ金融。
このヤミ金融について、あらためてご説明します。
今でも増えている闇金業者とその被害者たち
ヤミ金というのは、簡単に言うと違法な貸金業者のことを指します。
法律で定められた上限をはるかに超える高金利でカネを貸し、恐喝のような言動や暴力ぎりぎりの行為をするなど悪質な取り立てをして被害者を追い込みます。
ヤミ金は国で定められた出資法に違反した犯罪者です。
現在、このヤミ金が再び急増しています。
なにしろ「ヤミ」金ですから、どのくらい増えてきているのかという正確な情報はつかめませんが、貸金業登録数からある程度推測することはできます。
サラ金など貸金業者の営業活動を規制するために「貸金業規制法(貸金業の規制等に関する法律)」という法律があり、その法律の中で「貸金業登録」という制度が設けられています。
これは、貸金業を営業する時には都道府県に届け出をしなければいけないという制度です。
例えば、東京都の場合だと、平成26年度の貸金業者の新規登録数は2,000件を超えています。
実はこの大半が貸金業登録を行っていない闇金業者も含まれますから、実態は相当な件数になるはずです。
闇金が増えているかげには当然ながら、被害者もいます。
警察庁の調べでは、平成27年に検挙されたヤミ金事件(442件)の被害者は2万人、被害額はなんと「160億円」を超えるということです。
しかもこの数字は検挙されたケースについてのみ(しかも闇金業者の手口は多角化している)ですので、現実に闇金の取り立てに怯えている表に現れない被害者の総数はさらに大きなものになることでしょう。
一説には、全国で闇金被害者は50万人を超えるともいわれています。
ヤミ金は、全国に200万人を超すといわれる多重債務者を中心としたターゲットとしています。
ただでさえ借金の返済に窮している人達を、さらに借金地獄へ追い落とそうとしているのです。
取り締まりに消極的だった警察もヤミ金増加の一因
闇金被害は、一体いつ頃から増えてきたのでしょうか?
この点については、日本の経済の動向とかかわりが深いでしょう。
バブル経済崩壊の後、株価や不動産価格の急落により長年不況が続いていますが、このバブル崩壊と軌を一にしてヤミ金被害の問題がより目立つようになってきています。
初めは闇金業者の数も少なく、利息も「10日に1割(トイチ)」程度というパターンが多かったようです。
その後、ヤミ金業者が急増していくのに伴って、利息もエスカレートしていき、「10日に2割(トニ)」「10日に3割(トサン)」は当たり前、その後は「10日に5割(トゴ)」というとてつもない利息を取る闇金まで登場しています。
さらに、「1日1割(カラス金)」という途方もない利息を取るケースもあります。
このように闇金被害が増加してきた原因は、いくつかあげることができます。
1)ヤミ金は大変儲かるという点があります。
年間で1億円から3億円もの利益を上げるヤミ金も珍しくありません。
また、貸金業登録もしていないようなヤミ金業者は、法人税も払いませんし、所得税も当然払いません。
要は脱税しているわけで、利益を全部自分たちのものにできるわけです。
2)これまで闇金に対する警察の取り締まりがかなり甘かったという点があります。
ヤミ金というのは、元々からカネを貸すときの金利が法律(出資法=出資の受入れ、預かり金及び金利等の取り締まりに関する法律)に違反していますし、通常は貸付の時に契約書も交わしていませんので「貸金業規制法」にも違反しているわけです。
さらには、とても厳しく悪質な取り立てをしますので、刑法上の脅迫罪、恐喝罪、住居侵入罪または不退去罪等の犯罪も犯しています。
しかし、これまで警察はヤミ金の取り締まりに消極的でした。
たとえ被害者が警察に訴え出ても、「民事不介入」の原則をタテに捜査に動かない、または「借りたカネは返すのが当然だ」と反対に被害者に説教をして追い返してしまう、というのが実際のところだったのです。
こうした警察のありかたが、闇金被害を拡大させた大きな理由の一つと考えられます。
しかし、その警察もようやくヤミ金の取り締まりに重い腰を上げ始めました。
最近ではマスコミでも闇金被害が取り上げられるようになり、警察がヤミ金業者を逮捕・検挙したという報道を目にすることが増えてきたのは確かです。
1日1割(トイチ)の利息なんて返せるわけがない
ヤミ金は、前述したように出資法にも違反する高い利息を取ります。
当初は「10日で1割(トイチ)」の利息を取る業者が大半で、ヤミ金の利息はトイチというのが浸透していました。
「10日で1割」ということは、年利にすると365%(単利)に相当します。
これは、出資法の上限金利である20%をはるかに超えたとんでもない金利だということがわかるでしょう。
しかも、この20年ほどでヤミ金の利息はさらにエスカレートしています。
「10日で1割」だったものが「10日で2割」になり、「10日で3割」になり、「10日で4割」「10日で5割」というヤミ金が次々と出てきました。
まれに、なんと「1日に1割」というところもあります(「カラス金」と呼ばれます)。
そこまでいくと、一体誰が借りるの?と思わざるを得ませんが、こんな金利で借金してまともに返済できるわけがありません。
さらに、ヤミ金はほとんど契約に関する書類を残さないため、あとでどんな言いがかりをつけられるかわかりません。
たとえば
「1週間後に電話すると約束したのに、電話してこなかったからペナルティで利息を2倍にする」
「事務所に来る約束だったのに、来なかったから3倍にする」
などと、最初に約束した利息をどんどん釣り上げます。
ヤミ金には利息についての約束はあってないようなもので、相手の弱みにつけこんで、とことん搾り取ろうとします。
これもまた、ヤミ金の恐ろしさの一つです。
多重債務者は年間419万人に上る
自己破産の申し立て件数は平成25年には8万件(弁護士法人:名古屋総合法律事務所調べ)を突破しています。
裁判所に対する破産申し立ての実に9割以上が、一般消費者からのものとなっているそうです。
しかし、全国には返済困難に陥っている多重債務者が年間419万人以上(2013年6月現在:(株)日本信用情報機構調べ)いると見られていますので、これはまだ氷山の一角に過ぎないと考えられます。
借金苦や生活苦により家出、夜逃げをする人も年間10万人はいると思われます。
住民票を移動したらすぐに借金取りが追いかけてくるので、家族ともども住民票をそのまま残して夜逃げするか、離婚した上で子供は妻に引き取らせ、自分だけ夜逃げするかのどちらかを選ぶしかありません。
妻が連帯保証人の場合、離婚しても妻に迷惑がかかるだけです。
住民票もない状態では、なかなかまともな職業にも就きにくいし、健康保険にも入ることはできません。
十何年もして、もう大丈夫だろうと住民票を移動した途端に、闇金業者の取立てや催促が復活するケースも珍しくありません。
債務者の多くは、自宅や職場に押しかけられるのを怖れて、借金返済のための借金を重ね、雪だるま式に借金を増やしていくことになります。
これでは生殺しの生き地獄から逃げることはできません。
ヤミ金融にコンタクトしてしまうと、最悪夜逃げや自己破産などの最終手段に頼らざるを得なくなることも往々にしてあります。
万が一、こんな危険なヤミ金融の被害に遭ってしまったら、即座に法律家に相談することをおすすめします。
手遅れになる前に、頼りになる弁護士や司法書士などの力を借りて、一日でも早く心の重荷を降ろして下さい。
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ヤミ金問題はとても厄介で危険なので、取り扱う司法書士自体が少ないのが現実です。しかし安心して下さい。日本にはリスクを恐れない正義感あふれる闇金に強い司法書士事務所が存在します。 闇金に強い司法書士とは ...