「都①金融」とは、ヤミ金業者の俗称の一つです。
高利貸しの代名詞であるトイチとかけて、「トイチ金融」とも呼ばれます。
「都(1)金融」には要注意
東京都の場合、はじめて貸金業登録された業者は「都①12345」というように登録されます。
「都」は東京都、「①」は1回目の登録という意味で、後ろの5桁の数字は業者別の登録番号です。
この貸金業登録は3年ごとに行う必要があり、最初の登録から3年後に更新すると「都②」、さらに3年後に再更新すると「都③」となります。
特に「都(1)」の業者のことをトイチ業者と呼びますが、このトイチ業者の大半がヤミ金だといわれているのです。
「都(1)」ということは、貸金業登録をしてから3年以内の新しい業者ということになりますが、まっとうな営業をしている業者は3年ごとに更新していくはずですから、いずれ「都(2)」「都(3)」となります。
しかし、闇金は同じ名前では登録を更新しません。
最初の登録から3年経つと、更新せずにまた別の名前で新規に登録するのです。
こうすることで、警察による摘発を免れようとしているのです。
ですから、新聞広告などで「都(1)」とある業者については、ヤミ金ではないかと疑ってみる必要があるでしょう。
ちなみに、以前は「10日で一割」という暴利をつける貸金業者のことをトイチ業者といっていましたが、現在ではトイチ業者とは東京都の貸金業登録を受けた「都(1)」のついた業者のことをいいます。
最初は関東地方がターゲットに
ヤミ金融業者は基本的に、貸金業登録を取らず、無許可で営業する犯罪集団です。
しかし、都(1)金融は、ヤミ金融業者であるにもかかわらず、東京都知事から認可を受けている表向きだけ正規の金融業者です。
「都(1)金融」が表だって知られるようになったのは、1990年代の後半からのことです。
東京都内では、10日で二割(トニ)、10日三割(トサン)という超高金利で貸付をする、トニ、トサン業者の存在が表に出るようになってきました。
それ以前のモグリの高利貸し(トイチ)ち明らかに違うのは、
第一に、貸金業者としての登録を東京都知事から受けていることでした。
登録業者であって、モグリではなかったのです。
第二に、スポーツ紙や夕刊紙に広告を掲載したり、ダイレクトメール(はがき)を送りつけたり、人的なつながりを前提としない集客の方法が取られてきたことでした。
その結果として、
第三に、サラリーマンや主婦などの一般的消費者が被害者になっていることでした。
ただし、最初のうちは、闇金融の店長・従業員とが直接に顔を合わせる「対面型融資」でした。
貸付も返済も、ヤミ金融の店舗で行われていたのです。この点が、現在のケースと全く違うところです。
したがって顧客の範囲も、来店可能なエリアに限られます。東京の神田、上のなどに店があって、顧客は都内の他、千葉、埼玉、神奈川などの範囲というパターンが大部分でした。
全国に広まった都(1)金融
このタイプのヤミ金融業者による被害が、日本全国、津々浦々にまで爆発的に広がったのは、2001~2002年頃です。
「東京都(1)〇〇号」という登録番号が書かれたダイレクトメール(はがき)が全国に発送され、10日で三割、五割という超高金利による貸し付け、暴力的な言葉による取立て、しつこい嫌がらせの電話などによる被害が続発しました。
登録先である東京都庁には、全国から問い合わせや苦情が殺到しました。
このタイプのヤミ金融は、東京都(1)という登録番号と、高利貸しの代名詞であるトイチとをかけて、「都(1)金融」と書いてトイチ金融、と呼ばれるようになりました。
それ以前のトニ、トサン業者との違いは、「非対面型融資」だという点です。
都(1)金融は、店の電話番号を書いたダイレクトメールを送って申し込みの電話を受け付けたり、あるいは都(1)金融の側からダイレクトに電話をかけたりして顧客を勧誘し、契約は電話で、取立ても電話、貸し付けは顧客の預金口座に振り込み、返済は都(1)金融の預金口座に振り込ませる、という方法で営業をしていました。
この方法で、東京に拠点を置きながら、日本全国に営業を展開していきました。
090金融から「ケータイヤミ金」「SNSヤミ金」へ」
都(1)金融による被害の深刻さ、被害者の多さから、2002年頃には闇金融問題が社会問題として広く一般に知られるようになりました。
この時期の都(1)金融は、固定電話を営業用電話として使っていました。
当時は、東京の市外局番である「03」で始まる電話番号なら東京のヤミ金融、「090」で始まる番号なら地元のヤミ金融、という見分け方をしていました。
このタイプの都(1)金融は、警察による検挙や、東京都の監督・処分態勢の強化、廃業、貸金業法の改正による参入規制の強化などによって激減しました。
近年では、東京都知事登録業者で出資法違反の貸し付けを行う闇金融は、派手な広告・勧誘は避け、「対面型融資」で長期間にわたって高金利を取り立てることを狙い、警察や弁護士会などに駆け込まれないように無理な取立てを避け、返済期間の延長等にも柔軟に応じるタイプのものが生き残っているようです。
しかし、時代の流れにより都(1)金融の数は減っていき、携帯電話だけを使って融資を行う「ケータイヤミ金」・「SNSヤミ金」の被害が目立つようになってきています。
あなたのスマホを狙う「ケータイヤミ金」・「SNSヤミ金」の電話番号は、「03」「090」から、「050」「070」「045」と増えてきています。
もし、上記の番号で始まる知らない電話番号からかかってきた電話には要注意です。
覚悟してかかりましょう。
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