ヤミ金から身を守るために、闇金を側面から攻撃する方法があります。それは”ヤミ金口座の凍結”です。ヤミ金「三種の神器」の一つ"銀行口座"を凍結されることは闇金が非常に恐れる措置なのです。
銀行口座凍結で、闇金の活動をストップさせる
闇金の取立てをストップさせる方法として、闇金を側面から攻撃する方法もあります。
ほとんどの闇金は、銀行口座を指定してカネを振り込めと言ってきます。
このヤミ金の銀行口座を使用不能にする方法があるのです。
使用不能にするということは、「口座凍結」のことですが、闇金融の預金口座を入出金できない状態にすることで、闇金業者の活動をストップさせることができるのです。
「闇金は名簿屋で個人情報を買う」でご説明した通り、ヤミ金の「銀行口座」は、ヤミ金にとって「三種の神器」と言われており、この三つがヤミ金が最も大切にしている商売道具なのです。
- 名簿
- 銀行口座
- 携帯電話
三つの商売道具の一つである「銀行口座」を封じてしまうことは、ヤミ金の活動にとって大きな障害となります。
ヤミ金融業者は口座凍結に陥ると即死活問題となります。
まず一つ。
ご存じの方もおられるかもしれませんが、銀行の口座には「マネーロンダリング」に関する規制があります。
マネーロンダリングは「資金洗浄」と訳されますが、犯罪などによって得た不正な資金を、銀行口座を通すことできれいな資金にみせようとすることです。
このマネーロンダリングを規制しようとする動きは世界中に広まっており、日本の銀行でも、犯罪行為に銀行口座を利用させないようにしているのです。
闇金は出資法違反の明らかな犯罪行為をしていますから、振込先口座として指定された銀行に対して
「この口座はヤミ金のものだから、使わせないようにしてほしい」
と申し入れるのです。
申し入れを受けた銀行は、監督官庁に、その事実を通知しなければなりません。
ヤミ金は銀行口座が使えなくなると商売ができなくなってしまいますので、
「申し入れをするぞ」
と通告するだけで、取立てをやめるなど譲歩してきます。
手続きについては、弁護士・司法書士などの法律家に相談してみるのが得策です。
「マネーロンダリングに関する規制」の他に、闇金口座を凍結させる具体的な方法は以下の通りです。
振り込め詐欺救済法の活用
2008年6月から施行された「振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係わる資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)」は、犯罪利用口座の凍結、被害者への分配手続きなどを定めています。
この法律は、振り込め詐欺だけではなく、ヤミ金融の口座も対象にしています。
この法律を活用することにより、闇金の口座を凍結させることができます。
そしてさらにこの法律は、被害者が個別に裁判などを起こさなくても、凍結口座の預金から分配を受けられるという仕組みになっています。
この分配金を「被害回復分配金」といいます。
お金を取り戻す有効な方法であるとともに、ヤミ金融の道具を使えなくすることができるので、ヤミ金融撲滅のための効果的な方法です。
警察に口座凍結を要請
警察に被害届を出す際に、振込用紙の控えなどの証拠に基づいて口座凍結の要請をしてください(振り込め詐欺救済法三条一項)。
被害届、口座凍結の要請ともに、届け出る先は「警察署の生活安全課」です。
まず始めに警察に被害届を提出し、その次に口座凍結の要請を行う、という順番です。
口座凍結の要請をする前に、既に口座が凍結されている可能性がありますので、現時点での状況を確認してみてください。
「振り込め詐欺救済法に基づく公告」
出典:預金保険機構
この「預金保険機構」のサイトで、ヤミ金被害に遭った口座の口座番号を入力して確認します。
該当する口座が表示されなければ、まだその口座は凍結されていません。
警察に出向き、被害届と共に預金口座の凍結をお願いしましょう。
被害届を出す際には、ヤミ金業者の名前・屋号、携帯番号、口座番号、お金を借りた日付や金額、返済した金額など、できるだけ詳しい情報を思い出して、届け出をしましょう。
そして次に、銀行口座の凍結を依頼します。
口座凍結が行われると、何日か後に「預金保険機構」のホームページに「被害回復分配金」に関する情報が公告されます。
「振り込め詐欺救済法に基づく公告」現在掲載中の公告一覧
出典:預金保険機構
この「被害回復分配金」の中から、被害者が支払ってしまったお金を取り戻すことが可能になります。
「被害回復分配金」の受け取り申請については、「ヤミ金から「被害回復分配金」を取り戻す」で詳しく解説したいと思います。
財務局に口座凍結を依頼
各地方を管轄する財務局に「情報提供シート」をファックスや郵送等で送って口座凍結の要請をする方法もあります。
簡単に言えば、財務局への情報提供です。
各財務局のホームページの「ヤミ金融業者等の利用する金融機関口座への対応」「悪質な業者の利用する金融機関口座に関する情報の受付窓口」などのコーナーで書式をダウンロードすることができます。
情報提供するにあたっては、銀行口座に関する情報、口座名義、口座番号、不正取引の内容、情報提供者の氏名、住所、電話番号、業者名が分かっている場合は業者名、電話番号、担当者名、登録番号を書式に記入してください。
業者からの請求書など証拠となる書類があれば、一緒に送付してください。
書式のダウンロード等、詳しい方法は、あなたが居住しておられる地域の管轄財務局のホームページをご参照ください。
北海道財務局「悪質な業者の利用する金融機関口座に関する情報の受付窓口設置」
東北財務局「ヤミ金融業者等の利用する金融機関の預金口座に関する情報の受付」
関東財務局「悪質な業者の利用する金融機関口座に関する情報の受付窓口設置」
東海財務局「ヤミ金等悪質業者による預金口座の不正利用に関する情報受付窓口」
北陸財務局「悪質な業者の利用する金融機関口座に関する情報の受付窓口設置」
近畿財務局「悪質な業者の利用する金融機関口座に関する情報の受付窓口設置」
中国財務局「ヤミ金融業者等の利用する金融機関口座への対応について」
四国財務局「ヤミ金融業者等の利用する金融機関口座への対応について」
九州財務局「悪質な業者の利用する金融機関口座に関する情報の受付窓口」
福岡財務局「悪質な業者の利用する金融機関口座に関する情報の受付窓口設置」
0120-224-049
通話無料・24時間365日受付・全国対応・秘密厳守
弁護士・司法書士に依頼する
弁護士や司法書士には、弁護士会や司法書士会が銀行協会との協議で取り決めた専用の書式があります。
「振り込め詐欺等不正請求口座情報提供及び要請書」という書式です。
この書式は、弁護士会や司法書士会に所属する法律家のみが入手することができるもので、一般には公開されていません。
弁護士や司法書士はこの書式を使って、直接、銀行へ送付することができます。
警察や財務局を経由する必要はありません。
この方法が一番早く確実です。
以上のように、ヤミ金の口座凍結は、警察や弁護士・司法書士に相談し、銀行に要請してもらうことによって可能になります。
ヤミ金口座の凍結は、ヤミ金融業者にとって「逮捕」に匹敵する、彼らが最も恐れる有効な方法です。
活用しない手はありません。
また、同様に、警察・弁護士・司法書士に相談することによって、ヤミ金に支払ってしまったお金を取り戻す方法もあります。
これは「被害回復分配金の支払申請」と「被害回復給付金支給手続き」という手続きを取り、ヤミ金融から没収したお金を被害者に分配・支給するという方法と、「訴訟の提起」による返還です。
これらについては、別途解説したいと思います。
口座凍結に関するヤミ金の対抗方法
闇金の口座凍結は、全国各地で数多く実施されています。
ちなみに、平成27年度の口座凍結状況は、15,863口座という膨大な数の口座が凍結されています。
出典:首相官邸ホームページ
この状況に対し、ヤミ金側も対策を講じています。
それは、数多くの銀行口座を持つという方法です。
闇金は多くの口座を持つことで、リスクの分散を図っているのです。
それでは、闇金はどうやって銀行口座を手に入れるのでしょうか。
最近は、一般人でも銀行口座を複数持つことは簡単ではなくなってきています。
「振り込め詐欺」などが横行していることなどから、銀行にも新しいガイドラインが出来ており、例えば一つの銀行で複数の銀行口座を開こうとすると、「何に使われるのですか?」と銀行員に注意深く確認を受けることもあります。
一般人でさえこんな状況ですから、ヤミ金グループともなれば、銀行口座を新規開設することは容易ではないでしょう。
実はヤミ金は、被害者の銀行口座を被害者から譲り受ける(奪い取る)ことで、銀行口座を増やしているのです。
仮にあなたがヤミ金の被害者となった場合、ヤミ金からお金を借りる代わりに、銀行口座とキャッシュカードを併せて差し出させるよう要求してくるケースがあります。
また、口座名義人にいくばくかの謝礼を払って銀行口座を作らせ、譲渡させる場合もあります。
ターゲットはもちろん、ヤミ金被害者や多重債務者などです。
しかし、いかに要求されたとしても、ヤミ金に口座を渡してしまってはいけません。
ヤミ金に銀行口座が渡ってしまうと、あなたがヤミ金とグルであると疑われ、容疑者にされてしまう可能性があるからです。
警察は、事件が起きた場合に、該当する銀行口座の名義人を容疑者として疑うのは当然です。
また、銀行口座を他人に譲渡する行為は法律でも禁じられています(預金口座等の不正利用防止法:金融庁)。
銀行口座は、譲渡するだけで罰則を受ける行為となります。
以上のように、ヤミ金に銀行口座を渡すことは非常に危険な行為なので、絶対に譲渡しないように気をつけましょう。
ヤミ金の銀行口座以外の口座を凍結させないように注意
銀行口座の凍結は、以上のような方法で行うことができますが、ヤミ金の利用する銀行口座以外の関係ない口座を凍結させることのないよう十分注意してください。
理由もなく、銀行口座を凍結される人にとっては、大きな損害が生じます。
もし仮に自分の銀行口座が何物かに凍結されてしまい、入出金できなくなったり、公共料金の引き落としができなくなったりしたらどうなるでしょう。
突然そんな事態になったら、その人の経済的・精神的損害は計り知れません。
その口座が会社などの事業者の口座であった場合には、会社の経営ができなっくなったり、不渡りを出したり、給与を払えなくなったり、大きな不都合が起きてしまいます。
したがって、他人の銀行口座を凍結させることは、慎重に行うことが肝要です。
誤って、ヤミ金以外の銀行口座を凍結させてしまった場合、その口座の名義人から損害賠償を請求されても仕方がありません。
このため、口座凍結を検討する場合には、弁護士や司法書士などの法律家に相談することが一番です。
安易に、自分一人で銀行口座の凍結依頼を出さないように十分気をつけてください。
ヤミ金の銀行口座を凍結させて、仕返しされない?
闇金の銀行口座を凍結させたとしても、闇金から報復を受けることはありませんので安心してください。
まず、ヤミ金業者は凍結した本人が誰であるかを特定する方法を持っていません。
闇金は大量の他人名義の銀行口座を管理しています。
いちいち誰の銀行口座か突き止めるほどの余裕はないのです。
そもそもヤミ金にとっては、銀行口座の凍結自体日常茶飯事なので、それほど大きく受け止めることではないからです。
仮にヤミ金が、その銀行口座の名義人を調べるために銀行に問い合わせたとしても、他人名義の口座の名義人を銀行が教えるわけはありません。
したがって、ヤミ金の銀行口座を凍結したからといって、報復を受ける心配はありませんので安心してください。
逆に、心配なのは、先述した通りヤミ金とは全く関係ない他人の口座を凍結させてしまうことです。
そんなことが絶対起きないように、事前に弁護士や司法書士などの法律家に相談を仰ぐようにしましょう。
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