「カラ貸し」とは、借りてもいない借金の請求と取立てを行う、闇金による一種の架空請求詐欺です。
カラ貸しとは?
カラ貸しとは、借りてもいない借金の支払いの請求・取立てをヤミ金業者が行う、一種の架空請求詐欺です。
この手口の被害者は、現在もこれまでにも全くお金を借りてもいないのに、無理矢理に請求や取立てをされてしまう。という強引な手口です。
ヤミ金業者の常套手段の一つである「多重債務者リスト」を利用し、携帯電話やメールを使っていきなり取立てを始めます。
カラ貸しの取立て方法は携帯電話。
「昔貸したカネの返済がずっと遅延している。今すぐ返せ!」
などと言って脅し、被害者には全く心当たりの無い融資話であるという点が特徴です。
また、被害者の中にはあまりにも多くの債務を抱えていた過去などがある場合、返済しきれてない借金があるかもしれないと思い込み、ついついヤミ金の言う通りになって、借りてもいないお金を口座に振り込んでしまうケースもあります。
これは、「カラ貸し」同様、本人に全く身に覚えのない貸し付けに対し一方的に返済を迫る「引っかけ金融」に引っかかってしまったようなもので、被害者の「ひけめ」という心理につけこんだ悪質極まりない手口と言えるでしょう。
なぜカラ貸しに引っかかってしまうのか?
「カラ貸し」の出現した時期には、頼みもしないのに多重債務者の口座に勝手に元本となる現金を振り込み、暴利での返済を強要する「押し貸し」と呼ばれる手口も現れています。
しかし、「カラ貸し」はそもそも元本すら貸していません。
最初から、貸し付けるカネも必要ないのです。
必要なのは多重債務者の情報と携帯電話、それに銀行口座だけで、「返済」と称してカネを振り込むように脅迫まがいの電話を繰り返します。
ですが、ここで疑問が生じます。
いくら脅かされたからといって、なぜ、借りてもいない借金を返してしまうのでしょうか。
その背景には、返済に追われる多重債務者に特有の「不安感」があります。
いったんヤミ金融から借金をしてしまうと、連日連夜、厳しい取立ての電話などが相次ぎ、被害者の心は疲弊していきます。
「払わないと何をされるかわからない。」という不安から精神的に追い詰められ、冷静な判断能力が失われてしまいます。
そして、どこからいくら借金したのかわからなくなってしまっている人も少なくありません。
「カラ貸し」金融業者は、そんな被害者の心理をたくみに操り、ありもしない借金の返済をさせ、カネをせしめるのです。
カラ貸しの手口
カラ貸しを行う闇金業者は、過去に消費者金融などから借金をした経験のある顧客の個人情報を「名簿屋」から買い入れ、多重債務者と目を付けた人を狙って、ランダムに督促電話をかけていきます。
カラ貸しが狙っているのは、
- 過去に何回かダマされたことのある被害者
- 現在多重債務に陥っている人
- お金のやりくりに苦しんでいる人
たちです。
このような種類の人たちの個人情報は、「濃い」顧客リストとして名簿屋に流れていき、ヤミ金業者で回されていくのです。
カラ貸しによる督促電話は、業者の携帯電話から、被害者の携帯電話にかけられます。
過去に多重債務に陥った経験のある人に対し、突然電話をかけ、名前を呼び、
「債権が30万円残っている。今すぐ払え。」
などと、架空請求まがいの督促をしてきます。
身に覚えの無い被害者は当然請求を断ります。
すると、
「それでは、今支払えるだけのカネでいいから、すぐに払うなら10万円で許してやろう。」
などと言って、妥協点を提案してきます。
ここでカラ貸しの手口に乗ってしまうと、「カモ」と判断され、それ以降も請求が続くことになってしまうので、絶対支払いをしてはいけません。
また、「貸した」「借りてない」の押し問答で、短気になって激高したりしてはいけません。
これも相手の思うツボです。
激しく抵抗すると、「これは脈があるな。(身に覚えがあるな)」と判断され、その後もしつこく深追いをかけられてしまうことになります。
あくまで冷静に応対して、適当に電話を切るようにしてください。
カラ貸しの対処法
私こと管理人も、「カラ貸し」ではありませんが、携帯電話による「架空請求」をされたことがあります。
全く身に覚えがなかったので、激しく怒って電話を切ったのですが、その後も督促電話は止まらず、連日の電話攻撃を受けて辟易したことがあります。
これは今にして思えば、必要以上に怒ったことで、相手に「コイツはひけめがあるな」「身に覚えがあるな」と思わせてしまったことが原因だと考えられます。
本当に身に覚えが無ければ、適当にあしらって冷静に電話を切ることができるはずだからです。
ですので、「カラ貸し」の場合も架空請求同様、冷静に対処し、適当なことを言って早々に電話を切ることが一番無難な方法だと思います。
そして、大切なのは、向こうが知っているのは、こちらの電話番号と名前だけかもしれないということです。
なので、絶対にそれ以外の個人情報を相手に言わないようにしてください。
過去の事例では、
「勤務先に電話するぞ」
「子供のいる学校に電話するぞ」
などと、明らかに脅迫行為に及んでくるケースがあります。
その際は、即犯罪とみなされるため、警察に連絡するようにしましょう。
そして、万が一「カラ貸し」の被害に遭ってしまったら、法律家に相談して、早期の解決をはかるよう検討してみてください。
【カラ貸し実録】借りてもいない借金
できるだけ少ない費用でより多くの利益を求める。
闇金融の世界では、この「商売の鉄則」が極限まで追求されている。
警視庁丸の内警察署は2003年4月、実際には金を貸していない都内の男性二人に
「早く金を返せ」
などと電話をかけ、合計20万円を脅し取ったとして、東京・池袋の消費者金融の社長(22)と社員二人を恐喝容疑で逮捕した。
名簿業者から購入した多重債務者リストをもとに
「回収を依頼された。返さなければ職場に押しかける」
などと電話で脅し、現金を指定口座に振り込ませたというのが逮捕容疑。
彼らが振込先に指定したのは、インターネットで購入した複数の個人名義の銀行口座だった。
同署では同年二月、同社の別の社員三人を同容疑で逮捕しており、女性事務員一人を除き、社員全員が逮捕された。
同社は2001年11月から2003年1月頃にかけ、同じ手口で約50人から約1,200万円を脅し取っていたとみられている。
数万円の元本を貸し付けて法定利息を超える高金利で取り立てるのがヤミ金融だが、多重債務者の情報を使って、貸してもいない「借金」の取立てを迫ることから、その手口は「カラ貸し」と呼ばれる。
2002年秋頃から、頼みもしないのに多重債務者の口座に勝手に元本となる現金を振り込み、暴利での返済を要求する「押し貸し」と呼ばれる手口も出現している。
しかし「カラ貸し」はそもそも元本すら貸していない。
必要なのは多重債務者の情報と電話、それに銀行口座だけで「返済」と称して金を振り込むように脅迫まがいの電話を繰り返すのだ。
だが、いくら脅されたからといって、なぜ、借りてもいない借金を返してしまうのだろうか。
その背景には、返済に追われる多重債務者に特有の不安感がある。
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いったんヤミ金融から借金をしてしまうと、連日連夜、厳しい取立ての電話などが相次ぐ。
「払わないと何をされるかわからない」
という不安から精神的に追い詰められ、冷静な判断能力が失われていく。
どこからいくら借金をしたのかわからなくなってしまう人すらいるのだ。
東京都内に住むパートの60歳代の女性は2003年3月、金融業者を名乗る男から勤務先にかかってきた電話で、いきなり名前を呼ばれ、
「債権が残っている。10万円払え。」
と迫られた。
「大声を出さないでください。こちらからかけなおします。」
といってすぐに電話を切った。
だが、たまたま電話を取ったのが自分だったからよかった。
これ以上騒がれたら仕事を続けられなくなる、と考えると、仕事が手につかなくなった。
前年夏、闇金融に二十数社から借りた100万円を超える借金を、知人に用立ててもらって返済したが、一社だけ連絡がつかず、返済できなかった。
この業者の債権を譲渡されたのだと思い込み、携帯電話で業者に連絡を取った上で、指示された口座に8万円を振り込んだ。
すると、一週間後、別の業者から
「何でよその借金を返して、うちに払わないんだ。」
という電話が職場にかかってきた。
受話器を取るたびに大声でがなりたてる。
やはり、仕事をじゃまされたら生活できなくなると思い、5万円だけを払ったところ、最初の業者から今度は追加支払いを迫る電話がかかった。
無視し続けると、携帯電話の留守電に
「お前を殺す」
というメッセージが入った。
女性は
「怖くて家にも帰れない。一体どうしたらいいのか」
と怯えた表情で話した。
家族が標的にされることもある。
中部地方に住む50歳代の男性は2003年4月、都内に住む息子の借金を立て替えて欲しいと、大手消費者金融の社員を名乗る男から電話を受けた。
あわてて息子携帯電話に連絡を試みたが、つながらなかった。
「息子に何かあったら大変だ」
と思い、50万円を振り込んだ。
電話の主とは間もなく連絡がつかなくなり、だまされたとわかった。
息子は最初の大手消費者金融からは確かに借金をしていたが、振り込んだ先の口座は個人名義。
結局、電話の主はわからずじまいだが、後で確認したところ、息子が知らないうちに、携帯電話を紛失したという連絡が電話会社にあり、携帯電話がつながらなくなっていた。
ヤミ金融問題に詳しい溝呂木雄浩弁護士は
「警察の取り締まりが厳しくなるに連れ、ヤミ金融の側にも焦りが出てきたのか、短期間でより多くのもうけを狙う荒っぽい手口が目立ってきた。一度払ってしまうと甘く見られ、次々と同じような電話に苦しむことになる。警察に恐喝の被害届を出し、絶対に応じられないという毅然とした態度で対応するべきだ。」
と話している。
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