紹介屋は、貸金業者になりすまし、被害者に別の貸金業者を紹介し、上前をハネる詐欺師です。
紹介屋とは
ヤミ金融の他にも、借金で苦しむ人たちからカネをむしり取ろうとする悪質業者が数多くいます。
紹介屋は、厳密に言えば闇金業者ではなく、あたかも自分が貸金業者のように見せかけて、高額な手数料をだまし取る詐欺師、あるいは詐欺集団です。
複数の消費者金融から借金している人に
「借入先は一つにまとめた人がいいですよ」
などといって別の貸金業者を紹介します。
ただし、多重債務者に貸してくれるような業者ですから金利は高いし、借りた額の30%~50%以上は手数料として紹介屋に取られてしまいます。
しかし、実際には紹介屋が利用者にカネを貸すわけではありません。
「自社では貸すことはできないが、他社で借りることができるように斡旋(紹介)してあげる。」
などと言って利用者を言葉巧みに信用させ、融資先を紹介し、その代わりに高額の紹介料を請求します。
「紹介する貸金業者(消費者金融から闇金まで様々)の幹部・上層部などと懇意なので、あなただけ特別に融資してもらえるよう話をつける。」
などと利用者を誘導し、「紹介料」という名目でお金を取ります。
口先一つで利用者をだまし、金銭だけを得る単なる詐欺師(貸金業者というのは真っ赤なウソ)なのですが、これに引っかかる人が現実に存在するのです。
紹介屋の広告宣伝手法
紹介屋は、週刊誌やスポーツ紙、ダイレクトメール、チラシ、最近ではインターネットのWEBページなどに広告を打って、顧客を勧誘します。
「500万円即日振込」
「担保不要」
「保証人不要」
「収入証明不要」
「破格な低金利(3%程度)」
「ブラックOK」
「審査なし」
などを謳い、利用者が思わず興味を持ってしまうような甘言を弄して宣伝をします。
正規の貸金業者ではあり得ない好条件に釣られた利用者は、思わず連絡してしまいます。
ですがこの時点で、冷静に判断すれば違法業者だと判りますので、正規の業者かそうでないかの判別は比較的簡単です。
また、貸金業登録番号が載っていた場合、「都(1)」となってれば、怪しい。
電話番号が、携帯番号になっていたら怪しい、などの特徴がありますので、注意してください。
紹介屋の手口
個人情報を聞き出す
いざ利用者が申し込みの電話をかけてくると、一般の貸金業者同様、審査のためと称して、現在ある借金の金額・件数の他、住所、氏名、電話番号、勤務先、家族のことなど個人情報を洗いざらい聞き出します。
そして、「審査待ち」という形にし、一旦電話を切ります。
「審査」というのも真っ赤なウソで、実際には審査など行いません。
目的はあくまで個人情報の収集と、融資を断るための時間稼ぎです。
ここで聞き出した個人情報は、後に名簿屋に横流しし、ここでも小銭を儲け、さらにこの個人情報は、闇金などに流れてしまうことになります。
融資を一旦断る
次に、「審査結果」という名目で利用者に連絡し、「審査内容が悪い」「ウチでは融資できない」との旨を伝えてきます。
他の融資先を紹介する
そして、「ウチでは貸せないが、他の融資可能な業者を紹介する」「審査が通るように特別に計らってやる」と言ってきます。
利用者が、紹介してほしいと頼んだ場合、融資可能な業者を紹介しますが、あたかも融資先貸金業者と懇意で、しかもその業者の幹部・上層部の者にツテを通したと恩を着せてくるのです。
今回無理を言って特別に便宜を図ってもらった、だから紹介料が必要と称して、融資額の数十%を支払うよう要求してきます。
もし仮に、ここで融資を断ったとしたら、
- あなたはブラックリストに載っているので、どこからも融資を受けられない
- 自分が便宜を図らないとトラブルになる
- 既に申し込みをしているので、断れば損害賠償を請求する
などと、脅しをかけてきます。
利用者は、この時点で融資を受けたい一心と、個人情報を既に握られているという弱みがあるため、電話を切るのが難しい状態になっています。
その結果、紹介屋の誘導に乗り、まんまと借りることになってしまいます。
利用者に口止めをする
そして、紹介先の消費者金融の情報を利用者に教えるわけですが、実際には紹介屋とその金融業者のつながりは何もありません。
紹介屋は利用者から聞き出した負債額から、借りられそうな消費者金融を想定して、指定しているだけなのです。
さらに、特別に融通を利かせて話を通してあると強調し、
「貸金業者の幹部に特別に、内密に頼んだことだから、、」
紹介屋のことは一切口に出さずに借りてきてほしい、と自分のことについて口止めを要求します。
紹介した消費者金融でお金を借りてきた後、先ほどの紹介料数十%の支払いを要求してきます。
ここでも、支払いを拒否したり、値引きを要求したりすると、脅しが始まります。
「上層部に掛け合い、あんたをブラックリストに載せることができる。今後借りようとしてもどこからも借りられなくしてやる」
などと脅すのですが、既に個人情報を握られた利用者は、断り切れずに支払いをしてしまうわけです。
紹介屋が実際に話をつけたわけではない
以上のように、利用者は紹介屋に誘導され、意のままに「紹介料」を取られてしまうわけですが、実際には紹介屋は本当にツテを使って審査が通るよう計らったわけではありません。
ただ、融資できそうな業者を指定して、「紹介」しただけなのです。
貸金業者をやっていれば、利用者の負債額、借入希望額を聞けば、審査に通りそうな消費者金融を見つけることは可能、というわけです。
利用者は本来なら、紹介屋の助けを借りることなく、その消費者金融から融資を受けることはできたはずです。
紹介料の相場は約50%、高い場合は80%といったケースさえあります。
紹介屋の手口に引っかかってしまうと、このような法外な金額を搾取されることになるのです。
その後どうなる?
紹介屋にひっかかり、お金をだまし取られてしまったのはもちろん大損ですが、その後、他の闇金業者などから頻繁にダイレクトメールや携帯電話がかかってきて、融資の勧誘を受けてしまうことになります。
個人情報が名簿屋に流出してしまったというわけです。
このように紹介屋による迷惑は、お金を取られた後も続くことになるのです。
紹介屋のターゲット
紹介屋のターゲットはご多分に漏れず、多重債務者がメインかと思いきやそうでもないのです。
一番のターゲットは、「まだ消費者金融で借りることのできる人」であり、俗に言う「ブラックな人」や「多重債務者」がメインではありません。
すでに多くの借入があり、返済に困り、どこからも借りられなくなった人たちではなく、普通に消費者金融から借りられる人たちを、前述した広告を使い、勧誘します。
そして、言葉巧みに
「あなたはブラックリストに入っている。どこも貸すところがない」
と言い聞かせ、思い込ませ、自分の思い通りに誘導するのです。
実際に、消費者金融から借りることができる人でないと、「紹介屋」の手口は通用しないからです。
ですから、ターゲットは身の回りにいる普通の人たち、ということになってしまいます。
この傾向は、2010年の改正貸金業法に伴う総量規制の制定によって、ますます拍車がかかっています。
総量規制の導入によって、借り手は年収の三分の一を超過する金額を借りることが出来なくなりました。
これにより、以前のように、多重債務者などの「ブラックな人」などを相手に商売することができなくなってしまい(消費者金融を紹介できなくなってしまい)、「紹介屋」特有の手口は通用しなくなってきたのです。
ですから、紹介屋のターゲットは、いやがおうでも「借りやすい人」「多重債務でない人」に向けられるようになってきているのです。
一番おいしいターゲットは、「借入初心者」「借入の少ない人」に絞られ、さらにその傾向は強まっています。
お金を借りることに対して、知識がない人をターゲットに、「審査に通してあげる」と言葉巧みに誘導していく手口が、最近は増えているようです。
借金が初めての人は、知識が少ないので、ダマされやすい傾向にあるのです。
そして、闇金への誘導
紹介屋の手口にひっかかる「借金初心者」は多いです。
消費者金融から融資を受け始め、さらに名簿屋から流れた「カモリスト」に載ってしまった「借金初心者」は、執拗なヤミ金からの勧誘を受けて、多重債務に陥ってしまうケースもままあります。
この仕組みが成り立ってしまう理由としては、利用者が「消費者金融は高い業者」という固定観念を持ち、借金の知識そのものに欠けているところにあります。
恐ろしいところは、そんな背景の裏で高金利の違法業者の「甘い融資話」に乗っかってしまい、徐々に多重債務者への道を歩んでしまうところにあります。
・・・紹介屋に話を戻します。
現在の紹介屋のターゲットの一番は「借金初心者」ですが、今も昔も変わらず、多重債務者が狙われていることにも変わりはありません。
現在、活躍している紹介屋の最も多い手口の一つに闇金への誘導があります。
消費者金融で借りることのできなくなった人、多重債務者、ブラックな人、などは、「最悪ヤミ金だけは利用したくない」と思っているのが本音だと思います。
ですから、そんな人たちは、ヤミ金ではない業者を探し、できるだけ低金利でしかも審査の緩い業者を見つけては申し込みをしようとします。
そんな利用者を、甘い文言を散りばめた広告を使って勧誘し、闇金に誘導していくのが、紹介屋の最近の手口になっています。
紹介屋が活用するのが、明るいイメージのある最近流行りの「ソフトヤミ金」です。
一見、違法貸金業者に見えないソフトヤミ金は、多重債務者にとって、ありがたい存在に見えてしまい、紹介屋は彼らのその心理につけこんで、ソフトヤミ金から借金をさせてしまいます。
紹介屋は、この方法で利用者から「紹介料」を受け取り、さらには、紹介したソフトヤミ金からも斡旋料をもらうという紹介料の二重取りを行っているのです。
昔の紹介屋は、闇金業者と直接の接点は薄かったのですが、最近の紹介屋は闇金とグルになって活動しており、実はグループ業者だった、というケースもあるのです。
紹介屋の手口は、このように今も昔も変わらず、債務者を苦しめ続けているのです。
「紹介して融資」という言葉を聞いたら、このことを思い出して、決して近づかないように気をつけてください。
もし、このような手口にひっかかってしまったら、いち早く弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談して、早期の解決を図りましょう。
紹介屋対策・対処法
そんな紹介屋の手口にひっかかってしまったら、一体どうすれば良いのでしょうか。
一言申し上げるなら、
「素人には打つ手がない」
ということになります。
悪徳業者を相手に軽率な行動を取ってしまった。
と思って、反省するしか方法がありません。
取られたお金は返ってきませんし、一旦流出した個人情報も取り戻す事が出来ず、闇金からの電話勧誘やダイレクトメールを受け続けることになってしまいます。
紹介屋とのやり取りも、契約書も無ければ領収書など文書による証拠が無いために、仮に警察に届けたとしても、立証の方法がありません。
携帯電話のやり取りを全て録音しておく、といった方法をコンタクトの初めから行うといった周到な行動を取るしかないかと思います。
しかし、それが出来てればそもそも紹介屋の手口などにひっかかることはないでしょう。
警察に訴えてどうにもならない以上、やはり弁護士や司法書士などの力を借りる他ないと思われます。
あるいは、広告文言などに十分気をつけて、紹介屋などの違法業者に初めから近づかないのが一番の対処法かもしれません。
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