裁判所を使う手続きで、分割(原則3年)で借金を支払う方法です。多重債務者の救済策の一つですが、自分で行うより司法書士に依頼する方が安心です。
大きな力を発揮する特定調停制度
特定調停は、裁判所を使う手続きで、分割(原則3年)で借金を支払う方法です。
「任意整理」と同じように基本的に債務者と債権者の話し合いで解決しようという方法ですが、裁判所にあいだに入ってもらう点がちがいます。
裁判所が選ぶ調停委員(民間から3人)と裁判官1人による調停委員会が借り手と貸し手両者の言い分を聞いて、双方が合意できるような和解案づくりを進めていきます。
この場合も「利息制限法に基づく引直計算」によって借金は減額されますし、一般的な訴訟にくらべて手続きも簡単になっています。
もちろん、特定調停も話し合いですから、任意整理と同じで両者が合意しなければ成立しません。
「特定調停制度」は2000年2月より施行となり、個人の「民事再生制度」は2001年より施行となりました。
そして「法律扶助制度」も2000年10月に施行されました。
これにより、多重債務者の救済策も増えてきました。
特定調停制度と個人再生制度が機能し始めた結果、個人の自己破産のあり方も変わっていきました。
特定調停制度は、国が実施する個人の債務整理にほかなりませんが、この制度が定着するにつれ思わぬ副産物を生み出しました。
出資法違反の闇金業者が世間を騒がせていますが、このヤミ金の統制と被害者救済に、この制度が大きな力を発揮するケースがあるからです。
この特定調停制度と個人再生制度が出来上がったおかげで、代書人司法書士の債務整理・清算の場での活動領域が広がったのです。
それまで司法書士は、司法書士法や弁護士法の制限もあって、債務の任意整理はできませんでした。
司法書士による安全かつ適価な債務整理
ところが、特定調停法ができたおかげで個人の債務整理も扱えるようになりました。
それは、多重債務を抱える依頼人にとってもメリットは大きくなります。
実際に、特定調停制度は多重債務者が自己破産せずに返済の負担を軽減できる制度として利用されています。
特定調停においては、裁判官一名、法律と会計実務の経験が豊富な調停委員二名の三名によって、個人債務者の生活再建プログラムが作られます。
司法書士の任務は、申し立て前に債権の調査をし、債権者に手続きへの協力を求め、債務者に問題解決のプロセスを説明、申立書を作成し、債権者に取り立て禁止を通知するというのが主たるものです。
国の費用による調停委員会と協力して問題解決にあたるから、従来の任意債務整理よりも圧倒的に安い費用で債務整理ができるようになりました。
手続きも透明であるから、従来のような債務整理によるトラブルは考えられません。
司法書士と裁判所の二人三脚であるので、依頼人にとっても安心です。
二人三脚といえば、個人再生の手続きの場合は、裁判所と民事再生委員と司法書士の三人三脚ということになり、さらに手続きにおける安全性が増します。
一人の債務者のために、裁判所、民事再生委員、司法書士が協力、牽制しあうことになります。
裁判所は中立の立場で手続きの進行を管理・主宰し、民事再生委員は債権者の利益を代表し、司法書士は債務者と日常的に接触しながらその事務を補助し、早期の生活再建に助力するという仕組みになっています。
どちらの制度においても、司法書士が関与することで国民の負担は大幅に減じることになりました。
特定調停を簡易裁判所に申し立てて、裁判所からその事実の通知を受けた際は、貸金業者からの直接の取立ては止まります。
しかも手続きにおける多重債務者の安全が確保されるうえに、これまでしばしば問題となってきた金銭上の不正やトラブルも生じる可能性が少なくなりました。
また、特定調停では、任意整理と同じく借金の原因を問われることはありませんので、原因がギャンブルや浪費であっても、申立が可能です。
官報に氏名・住所等が掲載されることもありません。
しかし、司法書士を活用すれば、安全かつ金銭的にも安く債務整理できることを、多くの国民はあまり知らないのです。
この機会に司法書士による「特定調停制度」の意義を正しく認識しましょう。
特定調停の手続きについては、闇金問題に強く、しかも債務整理にも精通した司法書士に相談されることをおすすめします。
特定調停の流れ
・残債無の確定
・返済計画の合意
特定調停は、基本的には自分でもできる方法になりますが、やはり弁護士や司法書士に依頼した方が借金の整理がスムーズに進みます。
よくわからない、という場合は弁護士や司法書士に相談してみましょう。
特定調停にするか、任意整理を選ぶか?
特定調停は自分でできる債務整理の方法ですが、任意整理と比べて費用が安くすむメリット以外に、専門家に言わせると、実はそれほど大きなメリットはないかもしれません。
・・・裁判によっても違うが、特定調停での費用は1社につき印紙500円と切手代400円を納める程度と考えてよい
この費用の点を除けば、自分で申し立てる場合、結構な労力が必要になります。
任意整理と比較したときのデメリットをざっと挙げると、以下のようなものがあります。
(1)申立書を自分でつくるのが基本である
申立書はむずかしいものではありませんが、一人でつくるとなると不安なものです。
(2)貸金業者に申立書が届くまで、取立ては続く
貸金業者が取立てが出来なくなるのは、申立書が届いてからです。
申し立てでは、業者に取引履歴の開示を求めて借金総額を確定しなければなりませんが、手間取って申立書が遅れると、業者から取立てに追われるケースが多くなります。
(3)裁判所に何回か出頭しなければならない
期日には裁判所に出頭しなければなりません。
最低でも2回の出頭が必要で、債権者が多いケースでは出頭回数も増えます。
(4)過払い金を取り戻せない
特定調停では、過払い金の返還請求を認める調停はおこなわれていません。
過払い金を取り戻すためには、自分で交渉するか、司法書士や弁護士に依頼するしかありません。
(5)将来利息は不要だが、未払い利息・遅延損害金は支払わなければならない
任意整理では、未払い利息(最終取引日から和解成立日までの利息)・遅延損害金、将来利息(完済日までの利息)を支払わない条件で和解します。
特定調停でも将来利息は不要ですが、調停成立日までの未払い利息・遅延損害金も含めた金額を支払金額とします。
(6)調停を取り下げなければならないこともある
特定調停を申し立て、引直計算をしても、返済額があまり減らなかったというケースもあります。
調停の成立がむずかしいと判断されると調停を取り下げなければならないケースもあり、個人再生や自己破産による債務整理を考えることになります。
こうした比較から、最近では司法書士や弁護士に「任意整理」を依頼するケースが多いようです。
どの債務整理を選んで良いかわからない場合は、司法書士や弁護士に無料相談して、確認されることをおすすめします。
お時間のある方は、下記の記事も目を通してみてください。
自己破産後、悪徳ヤミ金業者数社から不当な貸付金を押しつけられたのですが、「特定調停」によって救われた主婦のケースです。
まわし屋という業者のババ抜きゲームの餌食になって・・・
自己破産した主婦に一本の電話が
自己破産の官報広告から情報を得て、少額の資金を出資法違反の高利で貸し付ける、無届け金融業者が暗躍しています。
誰も貸してくれなくなった人を助けて何が悪い、というのが彼らの言い分ですが、貸し付けの手口も巧妙で悪辣になっています。
一度カネを借りると死ぬまでカネを搾り取られてしまいます。
主婦の福田昌子さん(当時42歳)はその餌食となった債務者です。
私は、2009年末に自己破産し、2010年1月に免責をいただいております。
記録でも明らかなように、借入の直接の原因は、次女が水頭症になりその医療費の工面にありました。
夫に内緒でやりくりしているうちに、返済のためにまた借り入れるということになり、債務残額300万円となったところで行き詰まり、激しい取立てからそのことが夫にもわかってしまいました。
それで夫とともに法律事務所を訪ね、破産免責の手続きをしてもらった次第です。
ところが、免責をいただいた2010年の12月頃、「グリーンズ」という貸金業者から電話があり、破産前の貸し金が残っている、それを返済しろと迫ってきたのです。
破産をし、免責も得たと言ったのですが、
「それで借金が帳消しになると思ったら間違いだ」
と何回も取立ての電話がかかってくるようになり、
「弁護士さんから、支払いをしてはいけないと言われています」
と言っても、
「返済のカネは貸してやるから、弁護士に内緒で払え」
と要求してくるのです。
ついに借金をしてしまう
夫は大手バス会社の運転手をしており、長年堅実に働いていました。
夫の会社にでも電話をかけられると困るし、業者の脅しも怖かったし、弁護士さんのところにも迷惑をかけては、と相談にも行きづらかったので、暮れの12月29日、「ハッピーズ」の吉本という人から30万円を借りてしまったのです。
また、私もその頃は働いていて収入もわずかながらありましたから、何とか弁済できるだろうと思ったのでした。
当時、10年間は再び免責を受けられないということは弁護士さんから聞いて知っていましたが、言葉ではわかっていても、その意味はよくわからなかったのです。
それで、貸金業者からいろいろわけのわからない理屈を言われると、借りたものは借りたものだからやはり返さなくてはならないのかなと思ってしまいました。
今回、本当に地獄のような状況になって、もうどうなってもよいと新聞広告を見て飛び込んだところが、司法書士さんの事務所でした。
借金は繰り返される
司法書士の先生の前で
「私なんか死んでしまえばいいんでしょうか」
と言いました。
「もう免責にもならないんでしょうね」
とも聞きました。
「先例がまったくないわけじゃないから、頑張ってみましょう」
と司法書士の先生が言ってくれ、少し気が休まりました。
そこで破産という制度や免責という制度の意味、私が「まわし屋」という業者のババ抜きゲームの餌食にされていたことなどの説明を受けて、初めて自分がどのような状況に置かれているのかが理解できました。
しかし「ハッピーズ」からの借金もトイチ(10日で一割)の高利だったので、すぐに返済に困るようになりました。
すると2011年の春に、それを見透かしたように「レディースクラブ」という渋谷の貸金業者から、
「奥さん、あなたには貸し出し枠がありますよ」
と電話がかかってきたのです。
返済に困っていた私はそこからも借り、それを返済にあて、6月にはそこから紹介された「日本信用」というところからも借りてしまいました。
夫はこのことを全く知りませんでした。
夫はお酒もたしなむ程度で硬い一方の人でしたが、怒ると暴力がひどく、窮状を夫に打ち明けるどころではありません。
まして一年前には私の破産で迷惑をかけているのです。
それが怖くて、わずかな私の給料と家計費の一部でなんとか返済を続けていました。
しかし返済を続けていくためには、さらに数社から借入をせざるを得ませんでした。
そして、2012年10月頃、中学の同級生から(破産前に10万円を借りていたが、親しい友人だったこともあり、免責を申し立てていなかった)、借金10万円の返済を求められてしまいました。
何とかしようと思い「共同エンタープライズ」という池袋の会社から10万円を借りました。
これが10日に利息を2万円払うという高利貸しだったのです。
当然返済できませんから、また別の高利貸しから借りるということになります。
それから四ヶ月、破綻までは一直線でした。
この間、返済のために借り入れた業者数は十社になります。
このような業者は、額面5万円から10万円を貸し、2万円ほどを利息として天引きして現金を渡し、10日に一度2万円の利息を取るのです。
一度でも返済が遅れると、
「自宅に行く」
「親兄弟と談判する」
などと、その脅し方、ののしりのひどさは誰にもわかってもらえないと思います。
実際、一日に何度も何度も電話をかけてきたり、大声でののしり続けたり、それはすごいものです。
ですから、必死になってその利息を払うために、また高利貸しからお金を借りる毎日でした。
今、思いますと、この四ヶ月間は、私の精神状態もちょっと異常だったと思います。
夫ともついに離婚
2013年3月には、主人から「もうお前とはやっていけない」と離婚され、家族は身体障害者の実母と、中ニの長男、中一の長女、そして病気の次女の五人暮らしになりました。
そうなってからも取立てや脅迫は毎日で、女子供の世帯と見たのか、かえっていっそう激しくなり、いっそ死んでしまいたいと思いましたが、残された家族のことを考えると、何とか出直さねばと自分を叱咤しながら頑張ってきました。
破産をした人のところにお金を貸す業者なんかあるのかと、普通の方は思うはずです。
ところが、免責決定がおりても、それを待っていたかのように
「自己破産の方にもお貸しできます」
といったハガキが毎日舞い込んできますし、電話の勧誘さえあります。
そして私のような世間知らずで、夫がいるから何とかなるだろうという甘い考えの主婦が、そうした誘惑に引っかかるのです。
身近に相談する人もなく、また疑心暗鬼になっていますし、自分のばかさ加減を知られたくもないというわけで、高利貸し地獄にいともやすやすとはまってしまうのです。
司法書士の先生の話では、夫に内緒で自分だけで解決しようとして火だるまになって離婚、家族離散という主婦が少なくないということです。
とにかく、取立てのひどい何社かには先生に電話してもらい、警察の生活安全課や関東財務局、県の金融指導課にも電話していただきました。
ただ、先生の話では「モグリ」にはなかなかこういう公的方法は即効性がなくて困っているということです。
私は借りたお金を、本当に自分のために使ったことはほとんどありません。
返すために必死にお金を借りていたのです。
考えてみれば、業者さんの間で、お金の運び屋さんをやっていたようなものです。
最近はやっと落ち着いてものを考えられるようになり、家族も落ち着きを取り戻してきて、次女からも笑い声が聞こえるようになりました。
先日、司法書士の先生の勧めで県の福祉課に行き、生活保護の支給申請をしてきました。
それも認可されて、今は住まいも県の補助で借りられることになりました。
本当にこれまでの自分は情けなく、主人に頼りすぎて甘えていたんだと思います。
その主人に見捨てられたのも当然です。
そんな甘えや高利貸しの脅しに屈して、フラフラとまたお金を借りてしまう気の弱さや自分の無知が、今回のような事態を引き起こしてしまったんです。
私には、今も持病の糖尿病とバセドー病があり通院する日々ですが、子供も小さいのでここで倒れるわけにはいきません。
これからは、子供達や母のために病気を治し、一生懸命働くつもりです。
そして自立して責任感を持って生きていきたい。
働いて子供を三人育て、年老いた母を大事にすること、それが主人にまた会えるようになればと願うこの頃です。
もう借金はしません。その恐ろしさを本当に心底知りました。
特定調停制度により解決
この事件は、司法書士の特定調停による債務整理事件として解決を見ました。
十年内の免責申し立ては免責不許可事由であって、裁判官の裁量による解決を試みたのですが、ヤミ金融の多くは請求を放棄してきたので、返済金は生活保護費の中から返済していけるほどの額となりました。
超高金利闇金は、本来は出資法違反で不法原因給付ですので、法律的には債務者に返済の義務はないのです。
仮にいくらか返済していたとしても、それは不当利得として返還を求めることができますから、ヤミ金業者を訴える方法が理屈としては正しいのかもしれません。
しかし、そのような闇金業者の多くはマンションの一室を借り、二、三人で営業をしています。
逃げ足も速いし神出鬼没というようなところもあります。
したがって、そのような業者を正面から追い詰めると、債務者の安全が確保できなくなります。
そこで、司法書士の多くは「特定調停」を申し立てることがよくあります。
ヤミ金業者は自己破産者や高齢者をターゲット
最近の闇金の特徴は、自己破産者や主婦、高齢者をターゲットにしているところにあります。
3万から5万円を貸して、週に1万円の利息を取る。
払い続ける限り払わせるから、ほとんど過払いにもなっています。
このような業者に引っかかると、あっという間に二十件、三十件から借りていたなどということになります。
しかし、すべて少額の貸し付けなので、名目の債務残高の合計は100万円から多くて200万円、そして元本は返済されている場合が多いです。
だから、請求を放棄する者や裁判所の決定に従う業者も多くなります。
今回のケースは「特定調停」の思わぬ効果でした。
特定調停を使って救われたケースですが、司法書士に依頼することで事件がスムーズに解決した好例でしょう。
出資法違反による取り締まりは警察の仕事で、多重債務者を高利の返済から解放し、その安全を確保するのが法律家の仕事なのです。
弁護士や司法書士に相談すれば、あなたに最適な借金の返済方法についてアドバイスを受けることができます。
今後、借金に苦しめられることのないよう、勇気を出して法律家の無料相談を活用してみましょう。
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